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3.鳥乙女の願い 前編

2008.11.25 *Tue
文献では何度も描かれ生態としての知識はあったものの、現物を拝むと気持ちが悪かった。触手の動きが非常に気味が悪い。


ポルポタからマドラ海岸にあるウエストエンドビーチまで案外移動が速かった。時間にして数十分、一時間にも満たない。
しかし既に日は落ちていた。最短コースであるぶにゅの道も、いつの間に情報を嗅ぎつけたのか、隣町からやってきたリュミヌーの歌によって退けられていた。つくづくセイレーンの歌とは恐ろしい。
ウエストエンドビーチからエレが捕らえられている鳥かご灯台までは一本道だった。灯台は遙か昔、妖精戦争が勃発する前に魔導士達によりこの地に建設された。旅の航海を日々導き、さぞ親しまれていただろう。今となっては魔物の巣窟と化しているが、昔はここで何人もの人間が海を見つめ、営んでいたのか。寸時、亡霊の誰かが瞳に映った。

「ぼーっとしてる暇があるなら少しは手伝って」
己の視界を遮る髪をどける。
「あたしこれとは相性悪いみたいなの、よっと」

掛け声と共にエルは上空の触手に向け槍を突き刺した。跳躍し両の手で堅く掴む。自らの体重と、足を振り、勢いを付け一気に切り下げた。本来突きや払いに向いている槍の技ではない。両端に刃が付いているとはいえ、やや無理矢理感がある。
触手の大半が切られ自重により落下。触手は先端を残し萎れていく。残ったくちばしに似た先端がもぞもぞ動き出す。
次の行動に移る前に彼女は奔る。適当な岩を支点に、てこを使いくちばし型物体の下に槍を潜り込ませ、浮かせた。体術は得意ではないものの、空中に浮いたままのそれを蹴り飛ばす。すぐさま背後に移動してきたもう一体、こちらは巨大な牙が幾つも飛び出した形にも見える、地をはいずり回る触手。振り向きざま、足とおぼしき箇所に短剣を投げつけ動きを封じる。
動きが軽やかだ。

「てか、俺いらないんじゃないか、これ」
攻撃の寸前、セティールは大きく後方に飛んだ。摩擦熱と砂埃が舞う。眼前には魔法により一面のバラが咲き誇っていた。綺麗だが触りたくない。

「この戦法だと槍に負荷がかかりすぎなのっ。本来セティの役目でしょうが、これ。それにどうしても本体は攻撃できないから分身蹴散らすしかないの、おーけー」
「確かにあれは高すぎるな」
戦闘の興奮もあり、まくし立てるエルを華麗にスルーし、セティールは呆れ眼で上空を見上げた。

「けど、このまま持久戦ってのもきついぞ」
「だったら手っ取り早くあれを攻撃する手段を考えてよ。魔法は」
「出来るけど、正直あそこで直接魔法ぶっぱなしたら上のエレが怖い。天井もろそうだしな」
植物系には炎に属する攻撃が最も効果的である。だが今回は2階部分にエレがいるため、下手に強く出ることが出来ない。
放たれた光の本流を逃れ触手を切り落とす。落とされた分身が自爆を図る前に両断する。
天井には蔓が折り重なり膨れあがった何かがあった。文献とは異なり亜種になるのか、どう控えめに見ても記述にある花ではない。しかしあれが本体だ。
触手が這いずり、心臓はないが脈打つ繭の動きにげんなりした。生理的に気分が悪くなる。一応分類で妖花と呼称されるだけのことはある。別の意味で怪しい。
ずるりと音を立て、触手が解けた。見覚えのある華が咲き誇る。ああ、確かに花だった。気持ち悪いが。
夜目がきかないので余計質が悪い。夜の方が魔物の勢力は増す。少々分が悪かった。加えて本体を攻撃できず、分身に至っては切っても切ってもきりがない。解けた分の触手が次々と増殖している。

「理論上はこのまま殺し続ければ本体も死ぬんだけどな」

確かに分身を作り続ければ、本体の生体エネルギーも尽きるだろう。無尽蔵ではないのだ。しかし、確実に時間を要する。体力が持てばよい。しかし自信がない。
上部からの突き。そしてあぎとをかわす。大剣を構え、薙ぐ。転がる分身の中心に刃を突き立てた。僅かな抵抗感、途中までしか刺さらなかったが、体重を掛け貫いた。しかし一息つく間もなく、セティールの真横に新たな分身が産み落とされる。反応が遅かった。

「やばい……っ」

振り子のごとく触手は巨体を揺らし襲いかかってきた。回避は不可能。大剣の面を身体の前に構える。牙は防げたものの、流石に勢いまでは殺せなかった。ああ、殺しては駄目だった。エルに受け流すのが下手すぎるとこの間叱られたばかりだ。
そのまま後方へ吹き飛ばされる。背骨直撃は免れたものの、壁に叩き付けられ目眩がした。脇腹が少し痛む。浅く切れていた。
先刻から分身を斬りつけるあまり、服や身体の一部が緑色の粘液で汚れていた。体液なのだろうが独特の異臭を放っている。今朝の真珠とエルの料理を彷彿させた。洗って匂いが落ちればまぁ許そう。

「ばか、なにしてるの」
「悪い」
飛び出してきたエルが、眼前に迫っていた別の分身を薙ぎ払った。状況としては背に守られている形となる。非常に格好が悪い。

「何体目になったんだ」
「いちいち数えてないよ、きりがないもん。頭痛くなってきたかも」
「休むか一度」
冗談交じりで笑って見せた。空元気が空しい。
「この状況下でどう休めっていうの。あたし抜けたらセティ大丈夫じゃないでしょ」
かれこれこんな攻防を延々と繰り返しているのだ。集中力も途切れてくる。それでもエルは息がほとんど上がっていない。全く実力差に泣けてくる。セティールは埃を払い、立ち上がった。
触手を使って上空に上がるにも、掴んでいる最中に牙で攻撃される。触れるだけで怖い。さてどうしたものかと思量した。
不意に先程の分身の攻撃が脳裏に過ぎった。

「エル、悪いけど一分くらい援護できるか」
「一分だったらなんとかなるけど。何か思いついたの」
「いや、単純に牙のある触手が地面まで降りるんなら、その背に乗れば、牙とか気にしないで登れるなってだけだ」
大剣を鞘に戻し答える。登るのに剣を持っていては遣りづらい。
「俺が先陣きる。剣の方がこいつダメージでかいし、エルより幾分かましだろ」
「……しょうがないなぁ」
エルは腰のホルダーに槍を引っかけた。そのまま両脇にかかった対の短剣を取り出す。先程投げていた剣とは異なり、やや刀身が長く弓なりに反っている。柄に絡み付いた飾りひもがやけに長かった。
「正直、空中戦じゃ槍だと身動き取れないからね。援護しきれなくても恨みっこ無しだよ」
戦いの場に似合わず、やんわりと微笑むエル。
「上等」

刃を地中にめり込ませながら、触手が降ってきた。半回転し、軸をずらした。右で一歩、二歩目で跳躍、三歩目で着地。空中に戻る前に分身と触手の付け根を踏み込む。完全に分身を踏み台にし、残った触手をただひたすらよじ登る。ほとんど手を使わないあたり無我夢中だった。火事場の馬鹿力は重要だ。
エルも同時期に別の触手から上空へと飛び乗った。こちらはセティールよりも動きが遅い。彼女はセティールに近寄る触手を片っ端から切り落としていた。地面に落ちてしまえば天井には戻ってこれない。萎れる前の頼りない蔓を頼りに、次々と場所を移動する。
空中を移動しながら余った手を伸ばす。飾りひもを巻き付け、目標にめがけ突き刺す。こうすれば回収は容易である。
短剣を逆手に持ち、高く掲げた肘を後方に振り下ろす。くちばし分身の額に突き刺さった。もっとも額ではないが表現する方法がなかった。
彼女は切れた触手を右手に巻き、身体を振り子に先端の残る触手に飛び移った。軽く息を整える。振り落とそうと動き出す足下に力強く蹴り入れる。これで寸秒は目眩を起こしているはずだ。短剣を一時的にしまい槍を取り出す。気合いと共に己を中心にかまいたちが巻き起こる。セティールとしては避けるのに苦労した。
切れた触手の先から体液が飛び散っていた。彼女の身体も髪も緑色で汚れていたが、本人は全く気に留めていない様子だ。戦闘中はともかく後でねちねち気持ち悪いと抗議してくるので、早々に海に突っ込めておこうと決意した。

「鬼だなお前。体液被ってるから更に恐怖感が増すというか、瑠璃がいたら卒倒しかねん」
「無駄口叩いている暇があったら本体潰してよ。あたしこれでもいっぱいいっぱいなんだから」
槍を収め、短剣を取り出し真下に突き刺した。とても余裕がないとは思えない。
最後に飾りひもを振り回し、遠心力により威力を増幅させる。巧みに操り、消耗により頼りなくなった腕力を補って敵を払っていった。

「さて、いっちょやりますか」

先刻エルが触手を一掃させた地点にセティールは降り立った。
左手に触手を掴み、ぶら下がったまま揺れる身体の勢いを殺さず、本体へ向かう。手を放し、両の手で大剣を握りしめる。天井にいるためやや高度は落ちるが、ほぼ真横から斜め下に掛けての薙ぎ払い。しかも空中にいるため全体重を掛けられる。方向性を誤れば落ちるだけだがそんなへまはしない。
深く、刃がめり込む。声帯があるわけでもないのに、奇声があがった。葉や蔓が金属によって擦れる音かもしれない。気にせずそのまま体重を掛ける。
がぎと重い衝撃が奔った。剣が全く動かない。下半身だけが勢いのまま前方に流れた。バランスを崩す。
刃の埋もれた先には触手であふれ、押し返そうと抵抗してきた。普段ならともかく今は空中で足場がない。セティールは舌打ちした。

「ったく、こんなところで呼びたくなかったけどな。ドリアード!」

不安定な中、全体重を片手で支えるのにはやや厳しい。左手で柄を握りしめたまま右手で腰のロッドを素早く取り出す。杖を手の中で回転させ、名を呼ぶ。呼び声に応えて目の前にやや小さめの木の精霊が現れた。
幾ら魔法の才能があるとはいえ、魔物の勢力の方がこの一帯は明らかに強い。妖花自体も魔法を使用するくらいだ。下手すればこのドリアードも魔物の引力で持って行かれる。魔法力で根比べすればなんとか制御できるか否か、瀬戸際だった。
ドリアードが正面の壁に身を寄せると、色鮮やかな花々が咲き誇った。大輪の花びらを乗せて、緑の葉が蔓がセティールを包み、背を押す。しまう暇などなしに杖を上空から放り投げた。これくらいで損傷するほど柔じゃないと信じよう。
剣はずいぶんと妖花本体に深く沈み込んでいた。攻撃手段を奪うつもりだったのか。しかし今は逆に有り難い。ドリアードに背を預け、力を込める。蔓の一部が柄に絡み付き更に増した。追いやられていた刃が徐々に動き出す。

「一刀!!」

気を帯びた不可視の刃が伸びる。身体の流れはドリアードの蔓に引っ張られるまま。全身の力を両の手に込め、一気に切り裂く。植物の体液が飛び散った。
この間1秒もない。ドリアードの姿が消え、花びらが散る。舞い踊る七色の雨と共にセティールが地上めがけて着地した。エルもすぐさま後を追う。
めりめりと鈍い音がする。滑り込むように壁際に逃げると、中央に大人の背で何人分になるか、5メートル大の草の塊が落下した。
本体を上下まっぷたつに裂かれては再生も不可能だ。天井に張り巡らされた触手はだらしなく垂れ下がり、生気がない。そのうち自然に枯れていくだろう。
ドリアードが手を振って消えていく。セティールは軽く手を挙げ、別れを告げた。空間に溶ける。去り際、足下に白いカサブランカ一輪が落ちていた。
ほっと一息を吐いた。
疲れた。予想以上の疲労だった。
緊張の糸が切れた。大剣を杖代わりにのしかかり、大きく息を吸い込み、吐き出した。

「最初からドリアード呼んで、上空まで運んで貰えば良かったんじゃないの」
微かに上気したエルは落とした杖を拾い、セティールに歩み寄った。流石に息が乱れている。
「あほう、そこまで長時間呼び出してたら、途中でドリアードごと持ってかれてたぞ。数秒だったから何とかなったんだ。流石に本家植物には勝てん」

ジンに関しても案はあったが生憎狭すぎた。かまいたちを起こしたら速攻自滅しただろう。
杖を受け取る。礼を告げておいた。ウエストバッグから乾いた布を2枚取り出す。体液をずいぶん浴びたので内部にも浸透していると思われたが杞憂だった。このまま帰宅しとっとと洗い流したい衝動に駆られるが、我慢する。エレの問題が先だ。
粗方身体を拭い終え、自身の脇腹を目視した。浅く傷は残っているが血は止まっていた。毒性のある魔物でもないので問題はない。
最後に大剣や杖に付着した体液を拭き、鞘に収めた。
戦の後は静かだった。ただ、静寂に包まれている。時折細波が鼓膜を揺らす程度だ。風もなく穏やかである。
魔物の消えた灯台は美しかった。蔓に覆われた柵の向こうに、一面の海原が広がっている。月光を浴び可憐に咲き誇る花々と、紺碧のコントラストが更に雰囲気を引き立てている。
セティールとエルは顔を見合わせ頷き合い、2階へと駆けだした。目指すはエレの待つ一室だ。梯子を使い到着するもののなんと鍵がかかっていた。しかし白を切ってエルが一発蹴り破った。白どころの話ではない。

「遅いわよ、一体何時間待たせる気。下の魔物は無事に倒せたようだけど」
非難がましい切り出し方だ。
「お前、それが死闘を繰り広げてた人間に言う台詞か」
「さっきの仕返しよ。お疲れ様。大変だったわねエル」

故意に無視された。間違いない。水辺の縁に肘をついたフラメシュが微笑んでいた。
灯台のほとんどを植物に浸食されてしまえば、もはや一つの大樹にしか映らない。2階部分は全体を大小の幹で覆われ、中央のくぼみにはやや濁った水と、赤い花びらが泳いでいた。誰かが意図的に作ったのか、水上より上部に蔓で編まれたブランコが下がっていた。
女性はそこに鎮座していた。伏し目がちの瞳を彩る長い睫。それが呼吸に合わせ微かに上下しているのまで分かる。
フラメシュを可愛いという部類に反映するならば、彼女は美人という部類に属している。

「お久しぶりです、と言えばよいのかしら。こういうときどう声を掛ければ良いか分からないの。ごめんなさい」
僅かに哀愁を込めた笑みを浮かべるエレ。彼女は柵の隙間から月の光を浴びていた。堂々と咲き誇る大輪の花々が歌を歌う。幻想的とも取れる光景だ。慣れない状況につい息をのんでしまった。
「おおう珍しいものを見た。セティが見とれてるよ。人生において指で数える程しかない、数少ない出来事かな、多分」
「お前な……」
一歩前にいたエルがいつの間にか振り返って意地の悪い笑みを浮かべていた。
何故か無性に腹が立ったので一発小突いておいた。

「さてとエレ、これで自由になったけど。まさかまだ意固地に閉じこもるって言う訳じゃないでしょうね」
「別に意地張ってたんじゃない」
「じゃあどうして私の目を見られないのよ」
「それは、その」
何故かエレは物思いに耽り、ちらりとこちらを伺ってきた。首を傾げる。該当する答えが見あたらない。
困惑していると、ばさばさと風を切る音が下方から上がってきた。扉の隙間からぬっと顔が出た。リュミヌーである。
「下はもの凄い惨事ね。あの植物そのうち枯れるのかしら。それにしてもこっちまで臭いがあれね」
「原因はそこの2名よ、リュミヌー」
最早乾いた笑いしかでなかった。
リュミヌーは脇をすり抜け、エレ達の側へ近寄った。決して身体に触れないよう通る辺り、よほどこの臭いを毛嫌いしているのが見て取れた。お土産のごとく片手にぶら下げていたランプを部屋の片隅に置く。精霊の笑い声が聞こえた。

「お疲れ様です。フラメシュが無理言ってたみたいでごめんなさい。でも感謝してるわ。ありがとう。流石あなぐま語マスターと呼ぶべきかしら」
「それ、何かおかしいと思う」
エレがぼやいた。
セティールとしては用事は済んだので早く帰りたい思惑はあったものの、空気を読めないわけではなく非情に困った。エルはずっと黙止したままだ。所在なさげな片足をぶらぶら揺らしている。

「フラメシュもあまりエレをいじめないの。今回は確かに帝国兵に捕まったりで危なかったけど、エレも悩みたいときは悩みたいのよ。頭ごなしに否定はなし」
人差し指を横に振る。頭もついでに振っている。フラメシュはふくれた。むくれたまま、岸辺に上がりそっぽを向いてしまった。
流石のリュミヌーも肩をすくめた。背を飾る長い茎と葉が上下した。
「わかってるわよそんなこと。でも、ちょっと悔しいのよっ。エレはあたしより歌が上手くて綺麗で、それで悩むなんて贅沢すぎるわ」
「わたしは、フラメシュの綺麗な尻尾が羨ましいな。空は飛べるけど、海の中は見たことがないから。それに歌も好きだけど歌っていなくちゃいけないから。でもあなたは自由に歌えるし色んな人と交流が出来るわ。セイレーンはいるだけで嫌がられるから」
苛立ちを隠すことなく、べしべし足下を尾っぽで叩く。
「まさに隣の芝は青く見えるって奴だな」
つい口を挟んだ。
同様のことを考えていたと、リュミヌーがけらけらと笑っていた。笑い声に釣られそうになる。吹き出したい衝動を抑え込んだ。
一通り呼吸が落ち着いたところで彼女は手を叩いた。

「はいはい、喧嘩はそこまで。今日は疲れてるしまた今度にしなさいな」
これには押し黙るしか術はなかった。
リュミヌーがこちらに向き直る。
「ところでお二人とも流石にその臭いの元は流していった方が良いと思います。目の前が海だしどぼんと飛び込んじゃえば」
「そうする。流石に気持ち悪くて」
「あんたね、そんなに嫌ならなんで先にこっちに来たのよ」
一応エレの無事を確認するためという建前があったもののエルは答えなかった。彼女は疲労感たっぷりに肩に手を遣り首を回す。親父くさい。
「ああ、そうそう、あのねこれから花火大会があるんだけど、エレも一緒にどうかな」
「いつ大会になったんだ」
「ついさっき」
ねずみ花火乱舞により狂気の沙汰になる予感もある。確信に近い。主に被害者瑠璃専用で。
誘われたものの、エレは僅かに戸惑っている様子だった。無理もない。先程まで理由は不明だが外に出たくないと話していたのに、事情などお構いなしに無視され、外に出ようと勧誘されたのだから。半ば呆れてるかもしれない。

「じゃあちょっと外で洗ってくるから、その間に考えててよ」

駄目だったらちゃんと断ってと伝え、彼女は全力疾走で駆け下りていった。そんなに嫌だったのか。緑のどろどろ。
困惑した面持ちで、エレが目で問いかけてきた。肩をすくめておいた。彼女が決めることである。他人が指図する筋合いはない。
踵を返しセティールも海辺を目指した。途中一階の死体をノームの力を借りて地中に埋めておいた。はじめから埋めておけば良かったと後悔する。臭いが残り、潮の香りと混じって少し気分が悪くなる。早々に退散した。
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プロフィール

やなぎめし

Author:やなぎめし
最近の迷言:いつだって難産



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絶賛応援中


素敵企画を発見したので思わず。



本編目次

全14話予定

セイレーン編
第0話 世界の象徴
第1話 長くも短くもない一日( )
第2話 人魚の願い( )
第3話 鳥乙女の願い( )
第4話 寄り道道中( )
第5話 閑話休題( )
第6話 煌めきの都市防衛戦( )
第7話 旧時代
第8話 人形の願い
第9話 少しだけ長い一日

聖域編
第10話 鏡面世界
第11話 とても短い一日
第12話    の物語
第13話 聖域へと至る軌跡
第14話 ふたりぼっち
エピローグ

以降小出しにて更新中(現在第7話迄)



番外編目次

【時間軸】
ゲーム本編中:

サイト本編中:
現実と理想の差異による只の散歩
サイト本編後:
瑠璃くんの無駄に長い一日



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